【化学業界研究】②業界構造・所属企業
はじめに
このコラムでは化学業界の区分と工場の立地について解説する。
また、業界の構造として立地の特徴や日本の化学産業の源であるエチレンプラントについても触れる。
〈化学業界_投稿一覧〉
①前提知識・用語解説
②業界構造・所属企業
③業界内のトピックス
④世間のニュースとの関わり、他産業との関わり
⑤業界の展望・懸念点
そもそもエチレンとは
コラム①でもエチレンという言葉を出したが、もう少し詳しく解説したいと思う。
生活の様々なところにあるプラスチック(熱や圧力で成形加工できる高分子物質)の代表がポリ袋のポリエチレン、食品用タッパーのポリプロピレンだ。これらのポリマーはそれぞれエチレンとプロピレンガスから作られており、どちらも炭素数が2、3の低分子量物質の炭化水素だ。
石油化学工業ではこのような低分子物質であるガスを原料として、プラスチックやその他化学品など多種多様な化学製品を作っている。低分子物質である炭化水素は炭素数の多い「油」を高温で分解することで生成される。
この処理を行っているのがエチレンプラントだ。エチレンプラントは石油精製会社からナフサの共有を受けてエチレンの製造(エチレンセンター)を行う。上述の通り、エチレンは石油化学工業の「源」ともいえる基礎原料であるため、エチレンの製造能力は国の石油化学コンビナート全体の規模をみる指標として使われることもある。
日本ではエチレンセンターの乱立や中小規模のプラントの設置を防ぐため、生産能力に規制がかけられている。これは、日本の化学産業が「加工して高付加価値化する」ものであるため、規模の経済性を確保する必要があるからだ。最近では、さらに収益性を向上させるために、業界全体での再編が行われている。
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